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2010-08-05

サルでも分かる「インセプション」第6回

さてさて、サルでも分かる「インセプション」も今回で第6回。今回は映画の核でもある、コブ(レオナルド・ディカプリオ)の過去を解説します。思いっきりネタバレなので、未見の方はご注意ください。


「インセプション」は冒頭から、夢のなかに元妻のモル(マリオン・コティヤール)が登場して、コブとその仲間を妨害する。モルが頻繁に夢のなかに登場するのは、ドリームシェアリングをしているコブの潜在意識が罪悪感から投影させてしまうからだ。元妻のモルとの間になにがあったのか、なぜコブはアメリカに帰国することができないのか、という2点がこの映画のミステリーになっていて、後半になってようやくその謎が明かされることになる。今回は、二人の歴史を時系列に沿って説明します。

コブとモルはかつては幸せな夫婦で、ドリームシェアリングに夢中になっていた。実験を重ねるうち、潜在意識の最も深い階層にあるリンボー界(虚無)に行き着き、そのなかで自分たちが理想とする世界を作り出す。それは、自分たちの記憶に基づいた世界であったため、やがて現実と夢との判別が難しくなる。おまけに、リンボー界は潜在意識の奥深くにあるため、時間の流れが極端に速い。二人はリンボー界で数十年に匹敵する年月を過ごすことになる。やがてリンボーを現実だと受け入れはじめた妻を心配したコブは、妻にインセプションを行う。モルが現実と夢との区別に使用していたトーテム(駒)を用いて、その世界が現実ではないというアイデアを埋め込むのだ。その後、二人はリンボーのなかで列車の線路に横たわり、心中する(のちに、夢の第一階層において、町中で列車が登場するのはそのため)。二人は現実に戻るものの、モルはそれをどうしても現実として受け入れることができない。いつしか、夫のコブと一緒に心中をすることで、別の「現実」に目覚めようとするようになる。しかし、それが現実だと知っているコブは、モルを必死に止める。そこで、モルはコブが踏ん切りをつけられるように自らの殺人容疑をかけて、飛び降り自殺する。かくして、コブは指名手配犯となり、アメリカに戻れない立場となってのである。

長々と書いてしまったが、このエピソードの要点をまとめると以下のようになる。

1・コブはかつて妻にインセプションを行っていた
2・妻が自殺をしたのは、コブが行ったインセプションのせいだった

このトラウマがあるからこそ、ドリームシェアリングのときにモルが投影されてしまうのだ。実は主人公が妻を殺していたことが明らかになる、というダークな展開は、「メメント」と同じ。しかし、「メメント」の場合、主人公がその過去を都合良く忘れてしまうのに対し、「インセプション」の主人公はその過去と真っ正面から対峙する。このあたりは、クリストファー・ノーラン監督の成長の証なのかもしれない。

さて、次回はよくある質問をまとめたFAQを書きます!






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