ここから先はネタバレになりますから、ご注意ください(未見の方は、とりあえず序章のみをお勧めします)。
また、これまでの続きの内容になりますので、未読の方は以下のリンクをご利用ください。
さてさて。ドリームシェアリングの最中で死亡すると、夢から醒めるというルールは以前説明した通り。
しかし、物語の中盤でそのルールに例外があることがコブ(ディカプリオ)によって明かされる。
強い鎮静剤を服用した状態でドリームシェアリングを行っているときは、夢のなかで死亡しても現実世界で目覚めることができないために、潜入者はリンボー(忘却)という場所に飛ばされてしまうというのだ。リンボーとは潜在意識のもっとも深い場所にあるという設定で、潜入者は自分が夢のなかにいることを忘れて、迷子になりやすい。そして、精神が迷子になった状態のまま、鎮静剤が切れて肉体が目覚めると、「頭がスクランブルエッグのように」なってしまうのだ。
コブ率いるインセプション・チームは、夢の第3階層まで利用する作戦を実行するために、全員が鎮静剤を服用していた。つまり、彼らが作戦決行中に夢のなかで死亡すればリンボーに行ってしまうのだ。
精神が迷子なる危険な場所であるということ以外、物語のなかでリンボーについて詳しく説明されない。ただ、他の夢の階層とは異なり、誰かが作った世界ではなく、潜入者の経験が反映された共有世界のようだ。ここには、夢の第三階層で死亡したサイトー(渡辺謙)、そして、仮死に陥ったロバート・フィッシャー(キリアン・マーフィー)が行くことになる。
リンボーに行くもう一つの方法は、夢の奥深くに潜ることだ。かつてコブは妻のモル(マリオン・コティヤール)と共にいくつもの階層を抜けて、この場所に辿りついたという(妻との過去については次回、ご紹介します)。では、リンボーはどれほど深い場所にあるのだろうか?
調合師のユスフは、夢の世界を作るのは三階層が限界だと言っており、また、第3階層で眠りについたコブとアリアドネ(エレン・ペイジ)がリンボーに辿りついたことから、第4階層ではないだろうか。
リンボーに行くには2つの方法があるわけだが、死亡してリンボーに飛ばされる場合と違って、自主的にやってきた場合はリンボーが夢だと認識しているので危険性は低いようだ。
なお、階層が深くなるほどに時間の経過が早くなるので、一番深くにあるリンボーではとてつもなく早いペースで時間が進む。この場所に飛ばされたサイトーが一気に老け込んでいたのもそのためだ。
実は、はじめてこの映画を見たとき、リンボー界に飛ばされたコブとサイトーがどうやって接触できたのか分からなかった。しかし、二人の体はいまだに飛行機のなかでドリームシェアリングをしている最中で、リンボー世界にはそれまでに作った夢の残骸などが存在するという設定なので、過去に二人が出会った城の世界で再会を果たすという展開は、自然なことかもしれない。
なお、リンボーから現実に戻るプロセスは映画から省かれている。が、老サイトーが銃を手に取ったところで飛行機(現実)の場面に切り替わったので、リンボーのなかで死亡すればいいようだ。
今回は自分でも把握できていないところがあるので、分かりづらい説明になってしまって申し訳ない。
次は、コブとモルの過去について書きます!