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2010-07-25

サルでも分かる「インセプション」・第2回


 さて、今回からはついに核心に入ります。ネタバレばかりなので、未見の方はご注意ください。

 「インセプション」の犯行の舞台は夢のなかだ。夢とは流動的で、とりとめのないものだが、「なんでもあり」ではサスペンスは生まれない。そこで、クリストファー・ノーラン監督はいくつか独自のルールを設定している。

基本原則をまとめてみると、以下のような感じになると思う。

1・アイデアは強力なパラサイト(寄生虫)である

いったん浮かんだアイデアは、頭のあちこちに寄生虫のように巣くう。そのため、日常生活においてどんなに上手に隠し事をしていても、潜在意識のなかを覗かれてしまえばアウトである。また、アイデアは耐性が非常に強いので、いったん生まれたアイデアを消し去ることはできない。

2・夢を見ているとき、人は現実だと認識している

これについて補足は不要だろう。夢を見ているときは、だれもどういう形で始まったかは覚えておらず、放りこまれた世界のなかで対応するしかない。また、何らかのきっかけで夢を見ていると自覚したとき、夢の世界は瓦解する。

3・脳は夢の構築と知覚を交互に行っている

人は夢を見るとき、頭は夢の世界を作りつつ、その世界を体験している。つまり、夢の構築者と体験者が頭のなかに混在していることになる。体験者のほうは、自分が夢を見ていることを自覚していないから、当然のことながら構築者の存在を知らない。ここに、付け入る隙が生まれる。たとえ夢を他者が構築していたとしても、体験者はそれを現実として捉えることになるからだ。


次回は“エクストラクション”について解説します!

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